【 僕を助けて 】

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動物愛護センターに伺い、センターの方から、「愛するペットを守るために飼い主が心掛けるべき点」や「販売業者が注意するべきこと」など、様々な情報を聴取することができました。

私達が訪れた動物愛護センターは、明治中期から大正、昭和30年初頭まで全国で狂犬病が多数発生したことから、昭和26年に『市立犬抑留所』としてスタートし、県や市の条例を基に、動物愛護を基本理念とした『飼い犬管理センター』と名称を変え、さらに平成9年に『現在の動物愛護センター』の名称となりました。
設立目的は、迷子・怪我・捨てられて放置されているペットを収容し、人間の安全性を確保することです。安易に飼えなくなったペットを収容する所ではありません。
政令指定都市、県全体で同目的のセンターが日本全国にあります。
某資料によると、迷子になる犬の数は年間約16万頭。電柱やスーパーの掲示板に『この子探しています』ポスター等を見たことありませんか?

同伴したスタッフは、センターの方からお話を伺う前は、『動物愛護センター』や『保健所』に対して、『殺処分』を行う・・だけの場所と考え、あれやこれやと問いただす質問を用意しておりました。しかし、実際にセンターが行っている事業を拝聴すると、『動物愛護センター』の一般的なイメージはかなり払拭されるものでしたし、もちろん同伴したスタッフが用意した質問は、問いただす必要もありませんでした。

センターに収容された動物は、飼い主が現れない場合や、引き取り手が見つからない場合には、条例に従い5日目に殺処分される運命です。これだけは変わることのない事実です。しかし、その『殺処分』される数が少しでも減少するように、
1. 県・市・町の指定された動物愛護センター及び保健所への登録、『鑑札・注射済票』の付帯を徹底するよう、呼び掛ける。
2. 飼い主が見つからない場合、譲渡できると判断したペットに里親募集をかける。
3. 新たに里親となる人に対して、譲渡前講習会(犬を飼う前に)を受講することを義務付ける。(内容は下記を参照してください)
  ● 犬に関する法律
  ● 犬を飼う事の素晴らしさ
  ● 犬を飼う際に考えていただきたい事
  ● 犬はどんな性質を持っているのか
  ● 犬の選択について
  ● 犬を迎える準備に付いて
  ● 犬を迎えたら気をつけること
  ● ホームドクターの選定 →子供の頃から決めておきましょう
  ● 健康診断の必要性について
  ● しつけの必要性 → しつけのしてある犬は誰にでも好かれます
4. 犬を飼った際には、基本的なしつけを義務付ける。そのための『飼い方教室』の開催

以上の活動を行っておりました。その他にも細かく書けばキリがないですが、保育園や小学校、老人ホームへセンターの『ふれあい動物』たちと共に訪れ、動物愛護普及活動も活発に行っております。
そのかいあって、下記のように、捕獲・収容頭数並びに飼い主への返還率は、年々改善されていることがおわかりいただけると思います。
しかし、まだ年間1,785頭(平成15年 同センター調べ)ものペットが殺処分されているのです。

このような状況をいかがお考えでしょうか?
負傷動物の保護・収容を見ていただけると、犬は1頭に留まっておりますが猫の数は988頭。内901頭は幼猫。飼い主からの引き取り頭数は犬が91頭、猫が533頭。内389頭は幼猫です。

<犬・猫の捕獲収容と返還(平成15年度)>

 保護・収容 総数:207頭
 返還数:143頭
 返還率:69.1%


 ●負傷動物の 総数:989頭
 犬:1頭
 猫:988頭(幼猫901頭)


 ●飼い主からの引き取り 総数:624頭
 犬:91頭
 猫:533頭(幼猫389頭)


 ●里親への譲渡 総数:62頭
 犬:38頭
 猫:24頭


しかし、里親への譲渡は、犬が38頭、猫が24頭。この数字を見て、譲渡される数の少なさに驚かれると思います。それは、譲渡することができない特性を持った子が殆どだからです。

 ● 90日も満たない生まれたばかりの、目も開かない病弱な子猫
 ● 病気が進行し、手の施しようのない子
 ● 権勢症候群やアルファシンドロームを抱え、しつけ等の対処が必要な子
 ● 老犬で重度な介護が必要な子

以上の4つが、譲渡できない犬猫の条件ならば、人間のわがままから発生しているものであり、全て最初から回避できるのではないでしょうか?
また、飼い主の元へ戻れない30%も同様に、『故意』にという場合を除いては、『登録』と『鑑札・注射済票』の付帯で100%回避できます。

猫に関しては、これからもっともっと改善が必要だ、とセンター職員の方はおっしゃられていました。現在、猫には登録の義務がありません。つまり、犬のような『鑑札・注射済票』といった身分を証明するものがないのです。
その代わりに、現在市や県の動物愛護センターや保健所では、『マイクロチップ』の必要性を感じ、普及を促しています。
センターから新たに譲渡する際には、室内飼いを指導し、依頼があればマイクロチップのチッピングを行ってます。また、里親への譲渡時に飼い主の責任において避妊・去勢手術を行うことを条件としています。

しかし、譲渡の数を見ていただければ、十分お分かりいただけるように、犬・猫を合わせて62頭です。今後里親になられる方も増えて行けば、殺処分される数も減るでしょう。そのためには、センターや一部のボランティア団体の努力だけではなく、飼い主となる一般の方と、ペットを販売する業者の3方向からの努力が必要になるのです。
下記に、これから『愛するペットを守るために飼い主にとって心掛けるべき点』と『販売業者が注意すべき点』をまとめておりますので、ぜひ実行してください。

みんなで『殺処分ゼロ』を目指しましょう!!

I. 愛するペットを守るために飼い主が心掛けるべき点
 1. 飼育環境は大丈夫(ペット可の住居、家族の合意、近隣迷惑を掛けないなど)
 2. ライフスタイルにも合致している
 3. 費やせる時間(散歩等)、費やせる生涯費用(予防接種等)も大丈夫
 4. 最低限のしつけは責任を持って実施する
 5. 最低限の病気予防知識を取得する
 6. 最後まで責任を持ち面倒をみる
 7. 保険所に登録し、鑑札や注射済票を付ける
 8. 繁殖計画のない場合避妊・去勢の考えもある
 9. 予防接種やその際の簡単な健康診断、フィラリアは必ず毎年実施する
 10. 引越しの場合、ペット可の住居を探す

さらに、追加するべき点は、
 ● 迷子になったら、まずは保健所や動物愛護センターへ連絡しましょう
 ● 野良猫に餌を与えるのであれば、避妊・去勢手術をさせる責任を持ちましょう

II. 販売業者が注意すべき点
 1. 飼育承諾確認を必ず取る
 2. 迷子時の連絡先がどこかを教えておく
 3. 里親登録を広域レベルで普及させましょう
 4. これ以上殺処分される動物を減らすためにも避妊・去勢手術の重要性を必ず説明しましょう

以上が、今回取材で聴取しみなさまへお伝えしないとならないと考えたことです。
実際、殺処分される数は10年前の2分の1程度と減少していますが、センターに里親募集で来る人は、譲渡できる犬・猫の2倍の数がいるそうです。
ただし、あくまで管轄の市へ在住している方を対象に譲渡されています。これを全国レベルで里親登録があれば、もっともっとペットを救えるはずですね。
この状況を心からうれしく思ったのと同時に、さらに私達の努力で改善できる光りが見えた気がしました。

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