【 愛犬のための食材選び 】
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作成者:北関東支部 橋本 一則 / 事務局 能登谷 園実
国民消費者センターによると、今年に入って犬に関する苦情相談が前年度より3割も増え、寄せられるクレームの8割にも上るそうです。
良心的なブリーダーがいる反面、最近の小型犬人気で「需要」を当て込んだ心ない繁殖業者により、近親繁殖、病気を抱える子に子供を産ませる、劣悪な環境での飼育等、上げれば切りがないほど最悪な状況です。
そのため、骨格や免疫機能に障害を持つ子が増えているのが現実です。
以前は、栄養バランスが取れたドライフードを与えるのが良いとされていましたが、アレルギーを持つ子には与えてはいけない食材も含まれたり、骨格に障害が出ることもあるため、何らかの成分を多めに与えなければならない、など“食”を見直さなければならない時期にあるのではないかと思います。
手作り食を紹介する本や雑誌のコーナーも増え、実際に症状を和らげる例も上げられています。 アレルギーには様々な要因があるため、“これを食べさせたらいけない”というように特定して食材を上げることはできません。
その子その子によって与えてはいけないものがあります。
1ヶ月を判断する時間と考え、その子に合った食材選びを心がけましょう。
例として以下に何種類かの食材をご紹介しています。
手作り食にするのは、なかなか時間も勇気も知識も無いという方が多くいらっしゃいますが、ご自身でいざ手作り食を作ろうという時にさわりの知識として知っておくのも良いと思います。
◆体を作る五大栄養素
参考資料:『五訂食品成分表』女子栄養大学出版部 『食べて治す』主婦と生活社
〈ビタミン〉
種類が豊富で個々に役割が異なるが、いずれもほかの栄養素の働きをスムーズにする。 不足すると、貧血や体力減退などを引き起こす。
〈ミネラル〉
骨や歯を作るカルシウム、リン、血液を作る鉄、体液などのバランスを整えるナトリウムなどの総称。
〈脂肪〉
体を動かすために必要なカロリ−をたくさん作り出したり、ビタミンの吸収を助ける役割がある。
〈炭水化物〉
穀類や果物に含まれる糖分、ブドウ糖、オリゴ糖など。重要なエネルギー源。
〈タンパク質〉
アミノ酸で構成され、筋肉、内蔵、血液、ホルモン、酵素など体そのものを作る。
一つ一つの食材には、様々な栄養素が含まれています。
多くがその食材の色で現れています。
犬の食事・理想の割合 【肉:穀類:野菜 = 4:3:3】 上記の割合を頭において、色とりどりの食材を下記の図のようなバランスで取り入れることで、簡単理想の割合で食事を作ることができます。
※割合とは、1回の食事に使用する食材の適量を表しています。
■体内をきれいすっきり!ビタミンの宝庫 野菜
色:黒 割合:5%
特徴:“カリウム”や“ナトリウム”、“カルシウム”などの“ミネラル”が豊富。
少量でも良いので、毎日取り入れると良いでしょう。また、海藻類は、低カロリーの食材なので、ダイエット中の子には、最適な食材。
黒ごま 3g
脂肪分はリノール酸などの不飽和脂肪酸で、“動脈硬化の予防”に役立つ。
ビタミンEが脂肪の酸化を防いでくれる。消化が悪いので必ずすりおろして与えること。
ひじき 3g
低カロリーで、“カリウム”や“ナトリウム”が豊富。ビタミンCを多く含む野菜と一緒に食べると、“鉄分”の吸収を良くする効果がある。
のり 5g
ビタミン類を豊富に含むため、野菜が苦手な犬の場合、煮込んだのりを与えることで栄養素を代替できる。
肝臓の働きを助ける“タウリン”も多く含まれている食材。
とんぶり 20g
「畑のキャビア」とも呼ばれる食材。利尿の効果がある。
色:緑 割合:10%
特徴:緑色の野菜は、“ビタミン”“ミネラル”“食物繊維”が豊富に含まれる。
しかし、結石になる原因である“アク”(しゅう酸)を含む物が多いので、必ず下茹でをし、アクを抜いてから与えること。
パセリ 1g
脂肪の酸化を防ぐといわれる力ロチンが豊富で、“動脈硬化の予防”に役立つ。
カルシウムの沈着を助け、骨を丈夫にするビタミンKも多く含まれている食材。
ピーマン 3g
ビタミン類やミネラルが豊富。牛肉に含まれる毒素を中和する成分を含む。
おくら 9g
主に食す部分(若ざや)の部分に、食物繊維のペクチンと、粘膜が傷つくのを予防するムチンが含まれる。 胃腸や肝臓の機能回復にも役立つ。
緑豆 10g
解毒、解熱作用が認められており、発疹の予防に効果的。
ビタミン以外の栄養素が多く、特に“免疫機能を維持する力ロチン”が豊富。
スプラウト 10g
成熟した野菜の5〜6倍水分を含む食材。
スルフォラファンというピリッとする味は、アブラナ科の特徴。“癌予防”に効果がある。
モロヘイヤ 20g
“カロチン”の保有量が非常に高い。刻むと粘りが出る。
ビタミンB1は糖質の分解を助け、精神を安定させ、疲労を防ぐ効果があるといわれる。
小松菜 20g
カルシウムやビタミンB群、鉄などを多く含む。
生のものは、“ナトリウムの排泄”を促して“高血圧”を予防する“カリウム”が豊富に含まれている。
キャベツ 20g
胃腸の粘膜の新陳代謝を助けるビタミンU(キャベジンと呼はれる)と、骨粗しょう症に効果的なビタミンKの両方の作用で、消化不良を防ぐ効果がある。
ブロッコリー 30g
ビタミンCがレモンよりも多く含まれ、“癌予防”に効果がある。
体内で、ビタミンAに変わる“カロチン”も豊富な食材。
色:茶 割合:10%
普段の生活のなかで、なかなか取り入れにくい“ビタミンD”を含むものが多い。 キノコ類の成分は、体内でビタミンDに変化する。“カルシウム”の吸収を良くし、骨を丈夫にする働きがある。
※きのこ類には不溶性の食物繊維が多く含まれます。必ず細かく刻んで与えるよう。
まいたけ 2g
血圧を正常に保つ“カリウム”や“ビタミンB1・B2”をキノコ類の中でも、最も多く含む。
まいたけに含まれる“βカロチン”には、体内の免疫力を高める効果がある。
干ししいたけ 2g
エルゴステリンという成分が特徴。紫外線にあたると“ビタミンD”に変化し、カルシウムの吸収を助ける効果がる。 生より乾燥したものの方がビタミンB2が多い。
しめじ 2g
ほかのきのこと同様、ビタミンDを多く含む。
特に過酸化脂質の生成を抑える“ビタミンB2”を多く含み、“癌”や“動脈硬化”の予防効果がある。
納豆 40g
納豆菌が消化酵素を分泌するため、消化吸収をしやすい。
納豆に含まれるナットウキナーゼは、血栓を溶かす作用が期待できる。
色:白 割合:15%
特徴:生活習慣病を予防する“ビタミン”や“ミネラル”が豊富な食材が多い。
特に白い野菜は、“食物繊維”や“カリウム”を多く含み、“動脈硬化”を防ぐ効果ある。
うずら卵 2個
1個で鶏卵の4分の1個分の栄養素を含む。
栄養バランスは変わらないので、少量使いたいときに便利。
鶏卵 2分の1個
卵黄にはレシチンが多く、細胞膜を作るのに役立つ。
注意しないといけないのは、生の白身は、皮膚炎や結膜炎を引き起こす成分が含まれるので、必ず加熱して与えること。
寒天 3g
カルシウムや鉄分が豊富。ご飯を炊くときに一緒に入れると、簡単に与えることができる。
脱脂粉乳 9g
加エ乳の脂肪分を3.O%未満に調整した低脂肪乳から、水分を除いたもの。
バナナ 25g
1本でごはん茶碗1/2相当のカロリー。
消化がよく、ビタミンやミネラルを豊富に含む。バランスのよい食材食物繊維のベクチンも多く含まれる食材。
大根 50g
ジアスターゼというでんぷん分解酵素を多く含み、消化を助ける働きがある。
生で与える際は栄養素が壊れやすいので、必ずすりおろしてから与えること。
豆腐 50g
タンパク質と脂質に富んでいる。80%以上か水分。
絹ごし豆腐の方が木綿豆腐よりもビタミン類か多く含まれる。消化の良い食べ物。
じゃがいも 50g
ビタミンCとカリウムが豊富。
でんぷん質が、ゆでている間に栄養素が流れ出るのを防ぐ。カリウムは筋肉の動きを良くし、腎臓機能の回復を助ける効果がある。
プレーンヨーグルト 100cc
整腸作用があり、便秘の予防・改善に役立つほか、便の臭いを抑える効果もある。
色:黄 割合:20%
特徴:細胞を修復する成分を多く含む。 繊維質を多く含んでいるため、整腸作用があり、体の中をきれいにする効果がある。
オリーブオイル 4g
ピュアオイルは酸度が低く純度の高いオレイン酸とビタミンEを含んでいる。
心臓や血管のトラブルを予防する効果がある。
きなこ 10g
多く含まれる葉酸は、ビタミンB群のなかでも、細胞の分裂を促進し、発育を促す効果がある。 また、造血作用があり貧血の予防にも効果的。
おから 10g
食物繊維やタンハク質やカルシウムなどを豊富に含む。ダイエット時に適した食材。
大豆に含まれるイソフラボンは体調を整える効果がる。
ごぼう 20g
糖分の吸収を抑制する作用があるため、糖尿病や肥満の犬におすすめしたい食材。
食物繊維が豊富だが、繊維を細かくしないと効果が少ないため、与える時は必ず、すりおろしてから与えること。
黄ピーマン 20g
甘みがあり、生食ができる。
免疫力を高め、抗がん作用に注目が集まるビタミンCが豊富。カリウムの保有量は赤ピーマンと同等。
さつまいも 30g
ビタミンCと繊維が豊富。便秘を予防し、塩分の吸収を抑制する。
皮の下に多くの成分が含まれているので、皮をむかずに調理するのが良い。
かぼちゃ 30g
βカロチンとビタミンCが豊富に含まれる。血行を促進し、粘膜強化への高い効果がある。
にんじん 30g
カロチンを多く含み、ビタミンB1・B2、鉄なども多く含む。がん予防と抗酸化作用がある。
ビタミンCを壊さずに与えるために、生ですりおろしてから与えるのが良い。
色:赤 割合:40%
筋肉を作るタンパク質を含み、また“癌”を予防するリコピンが赤色の素。
動物性タンパク質にも色々な“ビタミン”や“ミネラル”が含まれる。
食事には4割を目安に取り入れるのが適度な割合である。
小豆 10g
ビタミンB1や鉄が豊富に含まれる。
便秘や血中来れるてロール値に効果的なサポニンが含まれている。脂肪の代謝を良くする作用がある。
パブリカ 20g
やわらかくて甘みがある。緑のピーマンと比べると、カロチンとビタミンCがそれぞれ約2倍以上含まれる。
トマト 30g
ビタミンC、ミネラル類、アミノ酸やリコピンが豊富に含まる、栄養バランスがとれた野菜。
食物繊維のペクチンを多く含むため、胃弱の子にはおすすめの野菜
■丈夫な体をつくる“タンパク質”の宝庫 肉・魚
煮干し 25g
カルシウムが豊富。犬には必す、湯にくぐらせ塩分を抜いてから与えること。
鮭 50g
皮の部分に、皮膚や粘膜を保護するビタミンB6を多く含んでいる。
身の部分には、リンの吸収を助けるビタミンDが多く含まれている
マグロ 50g
ビタミンB6を豊富に含み、粘膜や皮膚のトラブルに効果的。
ミネラルの一種で、糖質などの代謝を促し貧血を防ぐモリブデンも多く含まれている。
砂肝 50g
鶏の内蔵には疲労回復に効果があるビタミンが豊富に含まれる。
レバーは鉄分が豊富だが、若干カロリーが高めなため、砂肝のほうがおすすめの食材。
牛もも肉 50g
良質のたんぱく質源。牛は部位によって脂肪の含有量が異なる。
ももは脂肪分が少ない赤身の部分。アミノ酸やビタミンの葉酸を多く含む。
鶏胸肉
他の肉類に比べ、カロリーが低いのが特徴。
皮は必ず取り除いてから与えること。新鮮なものの特徴は、きれいなピンク色をしている。
鶏ささみ 50g
肉類の中で、最もたんぱく質が豊富で脂肪が少なく、糖質などの代謝に不可欠なビタミンやナイアシンを多く含み、血行を良くする働きがある。
豚もも肉 50g
他の肉類と比べ、ヒレの次にビタミンB1を多く含む。ビタミンB1は糖質の働きを助け、疲労回復に役立つ。
■栄養バランス抜群の食事の王様 ごはん類
玄米
白米の4倍にあたるビタミンのほか、脂質やカリウムなどの栄養素をバランスよく含んでいる。
あまり消化が良くないため、水分を多めにして、おじやをつくる感覚で、加熱しやわらかくして与えること。
オートミール
脂肪の酸化予防に効果的で、タンパク質や食物繊維が豊富。
お湯や低脂肪乳を加えて与えること。
白米
でんぷんが主な成分。炊くことにより、消化が良くなる。
五穀米
五穀米とは、米・麦・粟・豆・キビやヒエのこと。
ミネラルが豊富で、白米に2割程度混ぜて炊く。
粟・そば・押し麦
タンパク質が豊富
黒米
黒米には胃腸を丈夫にする作用がある。黒い色はアントシアニン、がん抑制効果が期待される。
緑豆
五穀米は穀類に混ぜて、豆を1種類入れるとバランスが良くなる。
緑豆がなければ、小豆でも代用ができる。
注意●以下のような食材は犬に食べさせないよう注意しましょう。
食べさせてはいけないもの
1. ねぎ類(玉ねぎ、長ねぎ、にら等)
下痢や嘔吐、血尿、黄疸、貧血、ねぎ中毒になります。
味噌汁の具、鍋物、ぬた(笑)
食卓でついあげている方は注意が必要です。
2. 生物
生の豚肉(人間もだめです。)
たこ、イカ、は皮膚病、下痢、消化不良を引き起こす可能性大です。
たこ焼き、するめ
3. 鳥や魚の骨
骨が鋭く、喉や消化器官にささるおそれがあり出血してしまいます。
4. 刺激物
こしょう、わさび、からしなどの香辛料は腎臓や肝臓に負担をかけます。
カレー、キムチ
5. お菓子(人間用)
チョコレートは尿失禁、てんかんになります。
あめ玉は喉につまらせたりします。
太りすぎ予防のため、お菓子は与えないようにしましょうね。
私も気をつけよ〜っと(^。^)
6. その他
薬品、化粧品、タバコなど、わんちゃんが届く範囲に置かないでください。
散歩中に落ちてるタバコも危険です。
牛乳もおなかをこわします。
意外と気が付かないのが、部屋の中にある観葉植物の石や土も危険です。
やはり子犬のうちは好奇心旺盛なので、何をしでかすかわかりません。
注意してしすぎることはありません。
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