【 飼育環境編 マンションライフ 】
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作成者:大阪北支部 前田 勝也
マンションでのペット飼育、特に犬と猫の飼育について考えてみます。
まず、共同住宅が分譲マンションか賃貸マンションかで少し変わってきますが、ここでは分譲マンションでのペット飼育についてお話していきます。
最初に、あなたのマンションの管理規約のなかにペットなどのことが書いてある使用細則を読んでみてください。
多分「小動物(小鳥や金魚など)以外の飼育は禁止」と書いてあると思います。
この場合原則として犬猫を飼うのは明らかに規約違反になります。管理規約を改正するには総会で3/4以上の承認がいります。 なかには何軒か飼っているところもあるでしょうが、もし苦情やトラブルが問題になれば理事会などで対応が協議されます。 このような場合はおそらく一代限りということで、新たにペットを飼うことを認めないことが多いようです。 いずれにしても管理規約は共同住宅での法律みたいなものですから、堂々と飼うのであれば規約改正をすることです。
◎ペット問題などの検討会や使用細則などの見直しを行い、区分所有者に賛同してもらう
◎総会の議題にあげる
上記のステップを踏み、総会で可決され晴れてペット(犬猫)が飼えるのです。
以前にあるマンションのあるお宅に伺ったときのことです。 玄関ドアを開けるとそこには大型犬(ラブラドールRだったような)が座っていました。 このときはなんとも感じませんでしたが、少し異様な匂いが漂っていました。 中に入ってダイニングに入った時いきなり冷蔵庫の上から2〜3匹の動物が頭上を横切り、足元に4〜5匹の猫が走り回っていたではありませんか。 冷静に見渡すと12〜13匹の猫が、足元には猫の糞が足の踏み場もないくらい散乱して思わずめまいがしてしまいました。 早々に退散しましたが、これでは共同生活とはかけ離れすぎで、マンション全体に迷惑がかかってしまいます。 こんな例は珍しいと思いますが、飼っている人にはわからないようです。
ペットも人と同じ生き物です。 飼う場合はルールを守り周囲の人に迷惑をかけず最後まで責任を持って飼育することが、人にとってもペットにとっても幸せなことなのです。 途中でペットを手放すのは心苦しいことですし、そういうところでは、はじめから飼わないという意思が重要です。
制限つきで飼育が認められている場合、
(1)飼育の届出(2)種類(3)頭数(4)大きさなどが決められています。
〈原則〉
◎専用部(住戸)内での飼育で、当然ながらバルコニーやルーフバルコニーなどの専用部分は禁止

◎エレベーターの使用禁止や使用できても抱いて乗る

◎飼い主として糞尿の始末は当然ですが、他所の犬の後始末
また上下左右の入居者の顔も知らないでは、飼育が認められていても問題が起こる可能性は大きいでしょう。
さてここで晴れて飼育可能になったとしましょう。しかし何をしてもいいということではありません。 ペットのための住宅ではなく、飼育が可能な住宅ということを認識することです。
〈飼い主の心構え〉
(1)動物の本能的な習性を理解し終生飼うこと、例えば大型の猟犬などは運動量が多くマンションには適さないので飼える環境が整うまで我慢するのも重要です。
飼ってから考えるのではなく考えてから飼うことです。

(2)田舎や大きな庭で飼われているペットと、マンション内で飼われるペットでは条件が違います。 数メートル上下左右は別住戸、啼き声や臭い、毛なども注意がいります。 去勢などの繁殖制限処置や疫病予防、害虫発生などに気をつけ清潔にすることが第一です。 しかしたまにはのびのびと走り回れるところでストレス発散もさせてあげることも、飼い主とペット共に必要です。
●あるアンケートレポートにこんな項目がありました。
動物を飼っていない人に対する質問で「動物を飼っていない人は飼っている人の立場を理解すべきである」との問いに
『イエスが51.5% ノーが48.5%』
参考までに動物を飼っている人の答えは、『イエスが93.9% ノーが6.1%』でした。
住戸内のクロスが破れてもカーペットが汚れても所有者の自由ですが、玄関を出た瞬間、廊下もエレベーターも植栽も、全て共有であるということを忘れないでいただきたい。 植え込みを荒らして植栽が枯れると新しく植樹するのも、エレベーターの内を汚すと張替えたり、そういった費用は全て区分所有者全体で負担するのです。
余談ですが、飼い犬の性格は飼い主に似るという記事を見かけました。 迷惑をかけるペットは実は飼い主が迷惑をかけているのです。 迷惑をかけているという意識自体がない飼い主もしばしば見かけます。こんな場合は訴訟などに至ることもあります。
最後にもう一度管理規約を読んでください。 玄関ドアを勝手に塗り替えることはできません(内側はかまいません)し、バルコニーに物置を設置できません。
集合住宅では1にマナー、2にマナー、3・4がなくて5にマナーです。
ペットをしつけることは重要ですが、飼い主をしつける教室が必要にならないようにしたいものです。
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