【 おしっこの量チェック 】
| 前のページにもどる |
作成者:事務局 岸田 和之
おしっこは犬の健康を調べる上で、とても大切な情報源になります。
いつもと違う愛犬の行動&『おしっこ』をじっくりと観察してみましょう。
◆観察ポイント
◎飲む水の量がいつもと変わらないのにおっしこの回数が多い
<原因>…残尿感による頻尿
◎おしっこをする体勢をとっていても、なかなか出ない
<原因>…膀胱炎、結石
◎いつまでもかがんでいる。または量が多いため、おしっこの時間が長い。
<原因>…結石、腫瘍
◎量が多く、色の薄いおしっこが出る
<原因>…腎炎
◎濁ったおしっこ、血尿が出る
<原因>…膀胱炎、尿道炎、前立腺炎など泌尿器の細菌感染症
◎おしっこの匂いがいつもと違う
<原因>…糖尿病が進むと甘い匂いのおしっこが出たりします。
◆おしっこの量チェック
〈おしっこの量が多い〉
水をたくさん飲み、大量におしっこする場合は主に6つの病気が考えられます。
◎糖尿病
過食と運動不足により肥満している犬がかかりやすく、ダックスフンド、プードル、テリア、ゴールデンレトリバーなどが発病しやすい。 一度、かかると生涯にわたって治療が必要な為、肥満にならないように注意が必要です。
◎クッシング症候群
食欲が異常に高まり、多飲多尿となり、腹部がふくれてきます。 病気が進むと、毛がパサパサになり、体の左右の部分の被毛が抜けていく症状が出ます。 七歳以上のプードル、ポメラニアン、ダックスフンド、ヨークシャーテリア、ボクサー、ボストンテリアなどに多く見られます。
◎子宮蓄膿症
子宮に膿がたまり、おなかがふくれる病気。5歳以上で出産経験のない犬に多い病気です。 また、過去に偽妊娠を経験している犬は、かかりやすい傾向があります。
細菌に感染して子宮が炎症をおこすことが原因です。 元気がなくなり、食欲の減退、嘔吐、下痢などの症状があり、発情期のように外陰部が大きくなるのも特徴です。
◎尿崩症
おしっこの過剰な排出をコントロールする抗利尿ホルモンが作用しなくなる病気。
脳下垂体の異常により、抗剰羅承拶モンが正常に分泌されなくなったり、腎臓がホルモンに対応できなくなったりします。 いくら飲んでも水を欲しがり、水のように薄いおしっこを大量にするようになります。 水を飲まないと脱水症状をおこすので、飲みたい時にいつでも飲めるような環境を整えましょう。
◎アジソン病
クッシング症候群とは反対に、謝驚皮質ホルモソの分泌が少なすぎるためにおこる病気。
腎臓に腫瘍ができたり、摘出したために副腎皮質ホルモンの分泌が減少した時に発病します。 また、クッシング症候群の治療薬を過剰に投与した時にもおこります。 全体の7〜8割がメスで、スタンダード・ブードルやコリーに多く見られます。 元気がなくなり、ボーっとしたり、ぐったりします。食欲不振、下痢、嘔ロ土などの症状が見られ、重い場合には死に至ることもあります。
◎心因性多飲多尿
精神的なストレスによって、多飲多尿になります。 環境の変化が発病のきっかけになることがあります。性格的に神経の細い犬に見られます。 水をたくさん飲んで、排泄するだけなので、大きな心配はいりません。 飼い主が神経質にならず、ゆったりしているのが治療法といえるでしょう。
〈おしっこの量が少ない〉
◎膀胱炎
膀胱が炎症をおこす病気。メスに多く見られます。 膀胱の収縮がうまくいかなくなり、尿が膀胱に残ります。 残尿感があり、たびたび排尿の姿勢をとりますが、おしっこの出ないことがあります。 出たおしっこは濁っていたり、色が濃くなっていたりします。匂いが強くなることもあります。 なかなか気づきにくく、慢性の状態になってからわかることが多い病気です。
◎前立腺炎
前立腺が炎症をおこすことでなります。オスの老犬に多く見られます。 急性の場合には、おしっこが出にくくなります。たいていは前立腺が肥大します。
◎膀胱結石
膀胱に結石ができる病気。ふつうは細菌性の膀胱炎に続いておこるため、メスに多く見られます。 残尿感があり、おしっこをたびたびします。
結石で気をつけたいのは、排泄しようとして出ない場合に、便秘と勘違いすること。 犬はあまり使秘をしませんので、おしっこが出にくい場合には、膀胱炎や結石の疑いがあります。
◎尿道結石
腎臓や膀胱から流れてきた結石が尿道につまる病気。オスに多く見られます。
しようとしてもおしっこが出ない、ポタホタとしか出ないなどの症状があります。
したくても出せない時に、無理におしっこをしようとすると血が出ることがありますが、たいてい犬はなめてしまうので、発見が遅れてしまう可能性があります。
◎腎不全
腎臓は血液量、圧力、流量が一定でないと、ろ過できない仕組みになっています。
たとえば脱水症状をおこし、血液がド四ドロになると、圧力も流量も変化するためにろ過できなくなります。 また、腎後性腎不全は、おしっこは作られるのですが、膀胱や尿道の異常によって尿が排泄されない病気です。 このように、腎臓そのものは機能していても、腎臓の前後の器官に異常があることで老廃物を体外へと排出できずにたまってしまう場合も含めて腎不全と総称します。 老廃物を排出できないと、血液中に有害物質がたまります。
それによって、ミネラルなどのバランスが崩れたり、神経が侵され、最悪の場合には死に至ることがあります。 これを尿毒症といいます。
◎膀胱ガン
膀胱に腫瘍ができる病気。元気がなくなる、嘔吐・下痢をしたり、排尿障害になります。
血尿や血便、おりものがあるので、気づきやく、早期の切除手術によって治る症例が多くあります。
※愛犬の健康状態を把握する為にも日頃の観察を行い、これらのように異常が見 られた際には、おしっこだけでも獣医師に調べてもらった方がよいでしょう。
Copyright(c)2005 JAPAN HUMAN & PET ASSOCIATION. All Rights Reserved.