【 ダックスフンド 】
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作成者:千葉支部 志村 友美
◆原産
ダックスフンドはスイスのジュラハウンドとドイツのピンシャーの掛け合わせによりスムースの基礎犬が作られました。 その後数十年にわたって改良され、今の3種が産まれました。 ダックスフンドはドイツでアナグマ猟で活躍していました。 古代エジプトやメキシコの 壁画に胴長短足の犬が描かれていたり、ドイツの古文書の中にこの犬の前身らしき犬 が登場したりと、その発祥については色々な説がありますが、16世紀にはドイツでテッケルと呼ばれ確認がされています。 また、現在でもドイツでは狩の能力を重視しています。
◆大きさ・体重
◎スタンダード・・・大きさ胸囲35cmを超える/体重7kg〜15kg
◎ミニチュア・・・大きさ胸囲35cm/体重4.8kg以下
◎カニヘン・・・大きさ胸囲30cm以下/体重3.2kg〜3.5kg
◆体の特徴(足・体・耳・目)
長胴、短足の代名詞になるくらいのユニークな体型なので、椎間板ヘルニアや肥満に注意が必要。
また高いところからのジャンプで骨が折れてしまったりと、かなり特徴をもった体系です。 猟犬だけに引き締まった筋肉質な体つきで非常に俊敏な一面もあります。 長胴・短足な体は狩の時に穴に潜りやすいようにと作られた体系なのです。 耳と尾は大きく垂れています。 目はまん丸というよりも、アーモンド形の目が特徴となっています。
◆被毛タイプ・毛色種解説
<被毛について>
ダックスは毛の長さについて3つに分かれます。
◎スムース・ヘアード
なめらかで光沢のある被毛。 短くて硬い密生した毛はなめらかな光沢感があります。 また、筋肉質な体系がはっきりと見えるダックスの古くからあるタイプです。
◎ロング・ヘアード
絹のようなさわりごごちが特徴の飾り毛も多い被毛絹のようになめらかな光沢感があり、飾り毛はウエーブがかかっていて、とても上品な被毛です。 長毛で、柔らかく手入れも丁寧にすることが大事です。
◎ワイヤー・ヘアード
立派な眉毛、顎ひげが特徴的。 体の大半を短い毛で覆っていて、剛毛なのがワイヤー。 耳の毛は短く、なめらか。顎と繭の部分にしっかりとした毛が生えています。
<色について>
◎スムース代表的な色
レッド・クリーム・ブラックタン・チョコレートタン
◎ロング・ヘアードの代表的な色
ゴールド・プリンドル・パイボールド
他40種類以上と豊富
◎ワイヤー・ヘアード
ワイルドボア・ワイルド、他
毛色はゴールド、レッド、クリームなどのほか、目の上に丸く、まゆ毛のように違う色が入るブラック&タン、まだら模様となるダップル、2色の毛が混じって縞模様が出るブリンドル、白のベースカラーに色が入るパイボールドなどバリエーションが豊富です。
◆育てるベストな環境
ダックスフンドは基本的に寒がりといわれています。人間と同じ環境で暮らすワンちゃんにとって、夏のクーラーは危険なもの。夏でも、涼しすぎる環境にいることはワンちゃんにとって致命的です。
また、日常の生活の中でもダックスフンドは陽気な性格を持っているため遊ぶことが大好き。 飼い主とのコミュニケーションは必要不可欠になってきます。 活動的な犬種なので、毎日の散歩や運動はそれぞれの体力に見合う範囲で十分にしてあげてください。
特にダックスフンドの場合、長胴・短足といった特徴的な体系の為散歩時にお腹の毛が汚れてしまう事が多く見られます。
最近では、ダックスフンドの洋服を中心に広く出回っていますが、本来【犬】というものは服を着せる動物ではありません。着せることによって、汚れは防げても蒸れてしまい被れたりしてしまいます。
なによりも1番大事なことは、人間の環境にワンちゃんが合っていると勘違いをしないこと!ワンちゃんは飼い主や人間が大好きなので合わせようと必死です。
その必死が無理に繋がり、病気に繋がります。
家族である、ワンちゃんが一緒に生活をする上でベストな環境とは、飼い主さん自身が気を使いしっかりと見極めてあげることだと思います。
◆なりやすい病気・身体の弱い部分
<1. 進行性網膜萎縮症(PRA)>
生後5ヶ月〜3才ごろに発病する先天性の目の病気、網膜細胞が萎縮しやがて失明してしまいます。
遅く出る子は生後何年かしてから症状が出る子もいます。
<2. 肥満>
ダックスは食欲旺盛、肥満になりやすい犬種。
太ると脊髄の負担が増え、関節炎、心臓病、糖尿病などを引き起こします。
適度な運動とカロリーコントロールで肥満を防止してください。
<3. 椎間板ヘルニア>
長い胴を短い足で支えるダックスフンドは、脊髄に負担がかかりやすい犬種です。
病気の原因は肥満、過激な運動、高いところからの飛び降りなど様々ですが飼い主の心掛け次第で防げる病気です。
<4. 耳の疾患>
たれ耳のダックスフンドは耳の病気には特に注意してください。
耳ダニ、細菌の感染、皮膚病から外耳炎や内耳炎を起こします。
早期発見は耳の中のチェックを毎日行い、1・2週間に1度の割合で耳の手入れを習慣づけシャンプー後の耳の中の水気をよくとり、しっかり乾かしましょう。
◆ダックスフンドの性格・性質
ダックスフンドの魅力は茶目っ気たっぷりで、陽気で明るく頭脳も明晰で、遊ぶことが大好きです。 又、警戒心も強く、もともと自分の判断でアナグマ猟をするように作出された犬種です。 独断での行動を好み、無駄吠えも比較的多く、遊び好き=いたずら好きです。
ダックスフンドの飼い主になられる方は、しつけやトレーニングを意欲的に楽しめる人が向いております。
ダックスには、他の犬種にない様々な魅力を持っています。
今後 飼おうと思っている人、既に飼っている人は是非、しつけを怠らず愛情を持ってダックスと素晴らしい生活を送って下さい。
◆しつけ方法
言葉のイメージからすると、人間が犬にあれこれ教え込む事のようですが、実は人間のほうが犬の事をよく理解することが重要なのです。
色々な問題行動と言われているものには、犬自信なりの理由があり、その原因を作り出しているのは、置かれている環境や、ワンちゃんへの接し方からくるものだと理解して下さい。 「いけない事」「しなくていい事」と犬が理解していないのに叱ったり、怒鳴ったりするとワンちゃんにストレスを与えているだけであり、逆効果の結果に繋がってしまいます。
子犬の場合だと叱られている事を理解できず、怖い思いをさせる事になり、その後トラウマになったり性格に大きく影響を及ぼしてしまいます。
克服させる為には、まずは、原因を取り除く事から行い、次に問題行動をとらせない状況におく事が大切です。
犬と人間では伝達方法が違うという事を認識しなければなりません。
「ダメ!って言っているのに聞いてくれない」のではなく、それはワンちゃんに正しく伝わっていないと考え直してみる必要があります。
最初から問題のあるワンちゃんはいません。問題を抱えてしまっているのは、実は飼い主側にあるんだという事を理解する事から始めましょう。
色々なしつけ例の中には体罰やきつい叱責を与える事により矯正していく方法も見受けられますしかし、こういった方法はその場しのぎでしかなく、ワンちゃんに多大なストレスを与え将来的に別の問題点を抱えてまう事になってしまいます。
体罰を受け続けたワンちゃんは防衛心から噛む犬になってしまい、ダックス本来のノビノビした陽気な性格とは異なってしまうのです。
犬達は学び成長していく上で、体罰なんかしなくても、沢山の事を学べる素晴らしい能力を持っていますし、リーダーとしての飼い主に誉めてもらう事を何よりも望み、それに従おうとする気持ちを備え持っています。
◆適切なケア方法
<爪切り>
子犬の頃から定期的に切ってあげましょう。ダックスの場合伸び過ぎると後肢が広がり、不健全な発育になってしまいます。自分で切るのが怖い方は獣医さんか、ペットショップで切ってもらって下さい。
くれぐれも生爪を切らないようにして下さいね。爪やすりでケアもお奨めです。
見逃してしまうのが、足裏の毛ですが、パットの間からはみ出した毛は滑りやすく踏ん張りがきかなくなってしまうので短くカットしてあげましょう。
<耳そうじ>
たれ耳のダックスは汚れが溜まりやすく異臭の原因ともなります。
お手入れは綿棒に消毒液(うがい薬・エタノール等)できれいにします。
綿棒を使うのが怖い方は、指にガーゼを巻いて拭いてあげて下さい。
<歯垢・歯石>
歯垢・歯石は知らないうちに付着し、付着した歯石は金属片ではがし、最悪は全身麻酔で獣医さんに取って貰わなければなりません。
予防として子犬の時期からドッグ用(人間用でも可)の歯ブラシで毎日歯磨きをしてあげて下さい。歯磨き粉を付ける必要はありません。
犬は口の中を触られるのを嫌いますが、子犬の時から習慣づければ、嫌がることをしません。
<シャンプー>
シャンプーは20日〜ひと月の間隔で行って下さい。シャンプーの前にブラッシングをしてからまんべんなく体を濡らします。 目や耳にシャンプーが入らないよう気をつけ顔から洗い、体は両手で揉む様にし、最後は尻尾と足を洗って下さい。
すすぎは、シャンプーが残らないように、しっかり洗い流して下さい。
<目のケア>
目の周囲は毎日濡らしたガーゼでやさしく拭いてあげて下さい。 目やにがひどい時は逆さまつげの可能性がありますので、獣医さんに相談して下さい。
ゴミ等が入った時は犬用目薬を差し濡れたガーゼで拭いてあげて下さい。
<被毛のケア>
ブラッシングする事により皮膚に刺激を与え、被毛の代謝と毛艶を良くします。
ブラッシングの前に濡れたタオルで全身を拭いてあげ、毛の生え方に逆らわずにブラッシングをしてあげて下さい。 特に耳の毛は餌や地面で汚れやすいので細めに拭いてあげて下さい。
<お尻のケア>
ダックスが散歩の途中で地面に肛門を頻繁にこすったり、舐めていることはありませんか?
それは、肛門の下にある肛門線が詰まって痒い為です。分泌液が溜まると線が破れる事もあるので、絞ってあげましょう。 しかし初心者がはじめてやるには難しいので定期健診の時に獣医さんにコツを教えてもらって下さい。
慣れると比較的簡単に出来るようになります。
肛門を正面から見て4時と8時のあたりから上へ絞ります。 肛門線を傷つけないように注意して下さい。出てくる分泌液はかなり臭いので入浴時に合わせて行って下さい。
◆健康管理
◎食欲
昨日まで残さず食べていたのに残した時。体調不良は一番に食欲不振にでます。
◎便・尿
下痢の症状、または逆に排便していない等。 便に白い虫が混じっている。尿は血尿、量の少なさ等に気をつけてください。
◎歩き方
足を引きずる。腰がふらつく等。骨折やヘルニアの可能性があります。
また、肉球を舐め続けている場合、裂傷や棘の可能性があります。 また、爪が伸びすぎて肉球に食い込んでいる場合もあります。
◎耳
耳の垂れているダックスは、耳の中がこもりやすく外耳炎にかかりやすいようです。 特にきつい臭いや、ただれ、耳を前足で何回もこする仕草等が異常の兆候です。
◎口
歯の欠け、歯ぐきの腫れ、唾液に血が混じっている等。 口臭が特に強い場合、歯周病や消化器系のただれが考えられます。
◎鼻
体調が悪いときは、乾いています。濃い鼻汁や鼻全体の腫れにも注意してください。
◎目
目やにや腫れなど、異物が混入して眼球に傷が付いている場合があります。
◎肛門・尿道口
特に酷い汚れ、尿によるまわりの毛の固まり等。 肛門をこするような仕草の場合は、肛門腺のつまりが考えられます。
◎鳴き声
いつもより力のない声、甘えた鳴き声など明らかに弱っている。 かすれた鳴き声なども喉に異常が考えられます。
◎喉が乾く
いつもより、または他のダックスフントより、大量に水を飲み、尿の量が多い場合には腎臓の異常や糖尿病が考えられます。
◎咳をする
こもったような咳をする。何かが引っかかったような感じ。 ジステンバーなどの疑いがあります。
◎吐く
ダックスフントは、草を食べて吐いたり毛玉等を良く吐きますが、心配ありません。 頻繁に食べたものを吐くのは、異常。感染症の疑いがあります。
◎発熱
ダックスフントは人間より体温が高い動物ですが(38度位)、安息時に息が荒く全般的に熱っぽい場合は異常です。
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